君がいた…
「なんで…
泣くんだよ…」

母親の涙を見た宏史は
困惑している。

美星も

まさか 泣くとは思っていなかったのか…

かける言葉が出てこない…

宏史の問いかけに

母親は

「やっと…
宏史から話をしてくれた…」

そう言って

顔を両手でおおってしまった。

美星は

母親の言った 短い言葉で

“もう大丈夫だ”と
確信し

宏史を見た。

宏史は

右の人差し指で頬をかきながら

少し照れた顔をしていた。

それを見た美星は

自然と顔がほころんだ。


「あのさ…」

母親の涙が落ち着いたころ

まだ

少し照れた顔の宏史が口を開いた。
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