治樹と未来
次の日、私は遠回りして美喜の家まで向かえに行き、一緒に学校へ行った。

美喜は一人の男を指差し、

【アイツ…】

小さな声でつぶやいた。

えっ・・・

マイがこの前指差した八重歯のアイツだった。

この日もその八重歯男は友達とワイワイ盛り上がっていた。

昨日泣いてた美喜を思い出すと、やけに腹立たしくて、その日男を待ち伏せた。

もちろん美喜のことで・・・

【ねぇ】

私の前を通り過ぎる八重歯男を呼び止めた。

何?って顔で無言のまま振り向く男に対し、

【私、美喜の友達だけど】

男の表情が変わった。

【あんた最低だよ】

・・・次の瞬間。その男は八重歯を見せて笑いながらこう言った。

【最低?どこが?お互いに合意の上でしたこと。何が悪い?】

ありえない。本当に悪魔。最低悪魔。

反省するどころか開き直ってる態度に、怒りがだんだんこみあげてきた。

【人の気持ち踏みにじるなんて最低だよ】

【簡単に体を許すような女も悪いんじゃないの?】

【好きなら許してしまうのは当たり前じゃん】

【好きじゃなくても許してしまう女だっているよ】

【いないよ】

【いるよ。君のすぐ近くにね】

【何言ってるの?美喜は本当にあなたのことが・・】

【そいつじゃねぇよ】

えっ・・ その時、マイの存在が頭をよぎった。




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