星の涙
しばらく反応がなかった。

ただの幻聴だろう。

きっと寝ぼけて変な声が聞こえただけだ。

そう巧は自分に言い聞かせた。

「やっぱ夢か……」

頭を掻きながらボソッと呟く。

もう笑い声は聞こえない。

虫の音が異常な程五月蝿いだけだった。

夢だと確信した巧はホッと胸を撫で下ろした。

それから巧は帰り支度を始めた。

星が一面に散りばめられた夜空。

今夜の星はいつもより多く見えている気がした。

読みかけの雑誌をバックに詰め込み、体をゆっくりと伸ばした。

バックを自転車のカゴに放り投げ、巧は自宅へと帰った。

その夜巧はこの不思議な出来事をひよりに話したが、無論相手にされるわけもなく、やはり寝ぼけただけだと笑われることになった。

巧はひよりの言葉により確信を感じ、夕食後、さっさとベットに潜り込むと安心して夢の中へと誘われていった。
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