マリオネット・ワールド <短>



俺がここまで真っ当で、人を見下ろせる場所で生きていられること。


それは、俺の力であることはもちろんだが、

両親にもそれ相応の感謝をせねばならないということも、きちんと理解している。



一流大学を出た、エリートの父。

俺の進むべき道を示し、最高の環境を整えてくれた、教育熱心な母。



いわゆる冷めた夫婦で、家庭環境は恵まれたとはいえないが、

そんなことは取るに足らない、ありがちな話だ。


別にどうでもいい。

俺の人生は俺のものなのだから。



両親だって、同じDNAを所有していようが、目元が似ていようが、口癖が似ていようが、所詮他人だ。



俺が欲しかったのは、父の持つ能力と経済力。

世間で生き抜くには、多少の糧になりそうな、母の顔。


たったそれだけ。



それさえあれば、後は自分の力でいくらでものし上がれる。



だって、全ての生命は、生まれた時から遺伝子によって、自分の限界は決められていて、

努力ではどうにもならないことなんて、この世には溢れ返っているのだから。


< 11 / 44 >

この作品をシェア

pagetop