マリオネット・ワールド <短>



一般人と呼ばれる人達が、普通だと言われるのならば、

こんな自分は、欠陥人間に設定されてしまうのだと思う。


そうとわかっていても、自分は周りとは違うとイキがりたいわけでもなく、

本当に、相容れることができないのだ。



昔から、女子はやたら群れたがる気持ち悪い生き物だから、必要以上につるんだりなんかしない。


故にいつだって、それ相応に浮いてはいたが、イジメられることはなかったから、まぁ別に問題はなかった。



男とは、あっさりと関係に切れ目を作ることができるから、何人かと関係を結んだこともある。



だけど、男は汚い生き物だと思う。


そう、母に教えられた。

父の背に教えられた。


そして、今までの人生で出遭ってきた男も、やたら汚いことばかりを考える、無能な奴ばかりだった。



基本的には、私自身より、体が大好き。


私の“気持ち”を求めた奴もいたけど、所詮は見えない私の心に対しての、初めて感じる“興味”を

愚かにも“好き”だと勘違いしたに過ぎなかった。




この家に、ヒトカケラも残されていない父の面影。


声くらいしか、私の記憶には刻まれていない父は、幼い頃、私と母を置き去りにした。


ヨソに女を作っていたというだけの、よくありすぎて、どうでもよくなるような話。



だけど、きちんと責任を負ったのだから、置き去りという表現は正しくないのかもしれない。


母と私の一生に“苦労”の二文字が付きまとわないような金額を、残していったのだから。



父=金。

私には“父”と聞いて浮かび上がる言葉は、これしかない。


< 14 / 44 >

この作品をシェア

pagetop