切なさに似て…
いつものように、窓に反射して映る自分の姿を見ながら、濡れた髪を乾かす。

映し出された私の顔は、酷く情けない顔を浮かべていた。


それを振り切るかのように、ドライヤーのスイッチを一旦切り大声を張り上げる。

「あーっ、雪降ってる。しかも吹雪だよ。まだ春なんて来ないじゃん」

「そんなに春が来て欲しいのかよ?」

「だって、暖かいじゃん」

そう言い、再びスイッチを入れた。


「春でも寒い時は寒いんだつーのっ」

ドライヤーのエンジン音に紛れて、「北国なめんな」そんな声が聞こえた気がした。


別になめてないんだけどな…。


冬はもういい。

早く春が来て欲しいだけだ。


降り注ぐ雪を見る度に、あの冬を思い出すから。

早く、雪という名のもとから遠ざかりたいだけ。
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