切なさに似て…
「すごい観察力。そっか…、そこまで見られてたとは。よく見てる…。ってことは…、わかってて彼氏だなんて言ったんでしょ?」

前に、白崎さんからカッコイイ彼氏がいて羨ましいと言われ、ごまかしたことを思い出す。


火傷しそうなほど熱かったコーヒーのスチール缶は、もう冷たくなっていて持っている指先もかじかむくらい。

寒くて身震いしてどうしようもないのに。それよりもまだまだこの場所にいたかった。


「ごめんなさい。あの時、ほんとはー、二股かけてるのかと思って。一弥だけとじゃなく、アウディの彼とも付き合ってるみたいなー。
だけど、困ってるぽかったから違うんだー、って。なんかそういうの気になりだしたら止まらなくてー」

「わかった。白崎さんは…、かなり前から結城さんのことが気になってたんだ?」

じゃなかったら、私のことを観察して探ってみようなんて思わないはず。


すると、白崎さんは上へと向けていた顔を下ろし、コクンと首を縦に振って口をゆっくり開けた。


「気になってたっていうか、好きでした。彼氏いましたけど、もう冷めててー」
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