切なさに似て…
はぁーっ。と、吐き出された治の息はやっぱり白く、まだ冬なんだと思い知らされる。


「でもよ…、あいつのことだから忘れないんだろうな、お前のことがさ。今頃、ウジウジしてるべな」

「あっちはあったかいんだろうな~。いいなぁ、信浩」

2人のそんな言葉は離れて聞こえて、私は白く落とされる雪を上げた顔に当てる。


信浩…?

私たちのタイミングは微妙にズレていて、重なり合うことなんて一度だってなくて。

それって、息がピッタリって言えたのかな…?


これが時勢に逆らった結果なのか。

時機を見定められなかったからか。


とにかく、私の前にはもう信浩はいない。

いないとわかったら、無性に会いたくなるんだよ…。


いつもいつも、肝心なことは何一つ言わせてくれないし、言ってくれないよね。

そんな信浩が、たまにムカつくよ…。


私がそういじけて言ったら。

柚果もだろっ!


って、答えてくれるんだろうか…?
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