切なさに似て…
「信浩に、いつ会いにいくわけ?」

「ゴールデンウイークかな」

それくらいしか休みないし。そう笑って答えると。


「見たいなー、信浩のびっくりした顔」

唇なんか噛み締めて、悔しそうな表情をした。


「…ポーカーフェイス得意だから、多分見れないよ」

「そっかなぁ」

「治にも電話しなきゃね…」

「あぁ、さっきわたしから電話しといた」

おかしそうに笑う麻矢に、私は憎らしそうに睨みつけた。


「まーた、余計なこと言ったんでしょ?」

視線を前にする麻矢に冷ややかな目を送る。


「全然。ただ、愛しい人に今すぐにでも会いに行きたい!って言ったかも知れないけどねー」

「それが余計なんじゃんっ」

ニヤつき楽しげに話す麻矢に、大声を張り上げる。


「照れない、照れない」

「…照れてませんーっ」

ニタニタ笑みを零しからかう麻矢にそっぽ向き、私は頭の中でいなくなった信浩のことを考えていた。


私の頭は、いつだって信浩のことばかり考えてしまっているよ。
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