散弾銃プレアデス



「…あぁ」

安原は短く答えて、同じように敬礼を返す。

すばるが、それを見てとても満足そうに笑った。





安原は紅茶を一口含み、自分のカップを手に立ち上がった。

高い背丈。座る自分との差が、すばるには少し不思議だった。



次の瞬間、すばるは頭に触れる大きな手の感触に気付く。

「隊長…?」

に、と口角を上げて手を離す安原の表情。あまり見せない、いたずらっ子のような笑顔。

思わず硬直し、目を丸くするすばるがやっと気付く。


頭の上に乗せられた2つの包みにすばるが手を伸ばすのを、安原は嬉しそうに見てからキッチンへと引っ込んだ。



すばるの手のひらの上には、アルファベットが刻まれた小さなチョコレートが行儀よく座っている。


「勲章だ」


すばるが振り向くと、安原が軽く壁にもたれて自分を見つめていた。
チョコレートの入った袋を手にし、安原は優しげに微笑んでいる。



< 40 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop