散弾銃プレアデス
安原がぱっと手を離すと、すばるは頬をさすりながら言う。
「隊長、いたいですっ」
「む、加減はしたつもりだ」
なぜか満足そうな表情をした安原が笑って返した。
「なぁ、皆瀬」
マグカップの冷めた紅茶をすばるが一気に飲み干した。
「…はいっ」
陶器の中でくぐもる返事。
空になど、渡してたまるか。
安原は一人決意する。
恐怖と焦燥に押しつぶされそうになっている小さな隊員。知識欲と探求心に食いつぶされようとした小さな少女。
それ見過ごせる程、元来自分は器用な人間ではない。
「俺はな────」
上司や軍人であることを抜きにしても、ひとりの人間として皆瀬すばるを守り抜きたい。
「お前をどこにもやらんぞ」
おとうさんみたいです
すばるはそう言って笑った。