僕は彼女の事を二度愛していた
めったに入る事のなかった応接室も、こう何度も立て続けに入ると感動が薄れてくる。僕は慣れた感じで、いつものようにソファに腰掛けた。
「で、どうだった?」
僕は首を横に振った。何か下手な事を言うより、よほどいいと思ったからだ。
「そうか、まいったな。」
「と言うと、どう言う事ですか?」
「いや、理由はわからないけどな、ここまで無断欠勤が続くとなるとな、なぁ、わかるだろ?」
部長は、みなまで言う事を避けた。
よくはわからない。でも、加藤のあの様子を見る限り、もしかしたら病気なのかもしれない。病気なら、休職扱いになるかもしれない。
ただ、僕には加藤のあれが、ただの病気のように思えない所があるのも事実だった。何かに怯えるような行動。
(本当に病気なのか?)
悩んだ。悩んでいるからこそ、今、部長に何も言えないのだ。
しかし、このままでは加藤はクビになってしまう。
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