僕は彼女の事を二度愛していた
社員食堂で考えを巡らせた。
(恵があそこまで想っているなんてね・・・。あれだと諦めろって言っても聞かないだろうし・・・。なんて言ったらいいのかな。しかし、どうしてこの会社の男は変なのが多いんだろうね。駅で独り言って、いったい何がしたいのよ。)
目の前にあるパスタは、いっこうに減らない。ソースをスプーンで集め、それをフォークでぐちゃぐちゃにする。ソースは、まるで絵里香の頭の中を表しているようだ。
(あぁ、どうしたらいいのかな。)
思い切りソースをかき混ぜた。ハネたソースが、制服のブラウスについた。気分は最悪だ。
そのせいで、自分の世界から引っ張りだされた。急に、周りの声がハッキリ聞こえてくる。
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