僕は彼女の事を二度愛していた
必ず、僕は頼む物を決めてから店に入る。そうしないと、いつまで経っても注文を決める事が出来ないのだ。格好悪い言い方をすれば、優柔不断と言う事だ。
「ご注文がお決まりになりましたら、お声がけ下さい。」
メニューと水。何故か、それらをひとつずつ持ってきた。メニューは一冊でも構わない。僕は、もう注文するものを決めてある。でも、彼女がいるにも関わらず、水をひとつしか持ってこないと言うのはどういう事だろう。
「すみません。水、もうひとつお願いできますか?」
「あ・・・、はい・・・。」
ウェイトレスは変な顔をしながら、もうひとつ水を持ってきた。
「お水になります。」
何故か、とまどい、僕の前に水を置いた。
「なんだ、あの店員・・・。」
僕は彼女にひとつ水を渡した。
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