僕は彼女の事を二度愛していた
望を隠すには、うってつけの場所がここにはある。
用務員室。そこだ。
ここは冬になると、かなり寒くなるのだろう。掘りコタツがあった。誰も使わない掘りコタツ。望を隠すにはちょうどいい。
まず、畳をどかした。埃がすごい勢いで舞い上がる。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。」
さすがにせき込むのは、堪える事が出来なかった。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。」
せき込んで力が入らない。それでも、僕は望を抱えなくてはいけない。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。」
でも、無理だった。まるで、僕の行動を埃が妨げているようだ。
僕は抱えるのを諦めた。望をけ飛ばし、何度も、何度もけ飛ばし、掘りコタツの中に落とした。
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