僕がここにいる限り


僕の足は保健室とは逆の方向に進んでいく。

手の方はポケットにつっこみ、鉛筆と消しゴムと紙があることを確認していた。



…多分、空いてるだろうなぁ。

そう思いながら階段を駆け上がっていく。



着いた所にあるドアはやっぱり鍵がかけられていなかった。

今更ながら、この学校の管理能力のなさに感謝する。


迷わずドアを開くと、生暖かい風が僕の肌をなでた。



青い空、白い雲、暖かい風…。

想像力をかきたてるには十分な材料が、
ここ屋上には揃っていた。


ポケットから折り畳まれた紙を取り出し、
鉛筆で頭の中のイメージを具現化していく。


気に入らないところは消しゴムで消しながら、
夢中になって描き進める。

…多分、僕は今最輝いていることだろう。

絵を描いている時は生きている心地がする――。



僕は本当に単純な人間だ。





< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop