勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



強引な左近の説得により俺は左近の養女になった娘と対面することになった。




紫衣、もしかして川原で逢った不思議な少女なのか?



突然現れて突然消えた紫衣。


俺の心を唯一あたたかく癒してくれた、紫衣なのか?





廊下を進み左近の部屋に近付くにつれ胸が高鳴っていくのが解る。



左近に悟られないように表情には出さないように努めたが胸の高鳴りは激しくなるばかりだった。





同じ名前の別人かもしれないと期待を押し込める。


期待をした分はずれてしまった時の落胆は大きいものだ。





渋々左近について行く素振りをしているが俺はどこかで紫衣に逢いたいと期待している。



落胆が大きいと知りながら期待せずにいられなかったのかもしれない。





「殿、こちらでお待ちを...。」



「直接部屋に行けばよいではないか。」




襖を開けた左近は俺に部屋で紫衣を待てというのか?


勿体つけるつもりなのか?


眉間にしわをよせて左近を睨みつけるが左近は動じることなく俺を部屋に押し込んだ。





「殿、紫衣の準備が整っているのか確かめてから連れてきます。
なぁに、お待たせすることはありませんよ。
紫衣にも心の準備も必要でしょう。」




そう俺に告げると左近は部屋を出て行った。

















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