勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
何も話せないのに視線も良君から外せなかった。
私の行動が周りをたくさん傷つけてしまうって焦れば焦るほど言葉は頭の中でグルグルと回るだけでどうしていいのか、何を話せばいいのかすらわからなくなったんだ。
そして意気地なしの私はやっぱり場の雰囲気に耐えきれず逃げたくなった。
逃げて1人になりたかったんだ。
「ごめん…な…さい…」
動かない唇にキュッと力を入れて精一杯の言葉を紡いだ後私は芽衣ちゃんを振り切って走り出した。
「紫衣――!!」
背中から聞こえる良君の叫びにも似た私を呼ぶ声にも振り返ることは出来なかったんだ。