勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
廊下を駆け抜けて階段に差し掛かったところで私は追いかけてきた良君に腕を掴まれたんだ。
「紫衣、待てよ!」
「イヤッ放して!!」
「石田!!紫衣に触らないで!」
良君を振り払おうとする私の背中から芽衣ちゃんの声が響いた。
追いかけてきてくれたんだね。
いつでもツラいことから逃げちゃう弱虫の私を守ってくれた芽衣ちゃん。
でも私は誰にも守ってもらう資格なんてないんだよ。
向き合うことも受け止めることも出来ないんだもん。
良君と真衣ちゃんのこと認めてるのに…
自分の考えすら口に出すことが出来ない意気地なしなんだもん。