勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「俺、阿呆だ...。」
項垂れたまま言葉を落とす紅葉さんに私は不思議に思って視線を向けると真っ赤な顔をした紅葉さんが瞳に映ったんだ。
「阿呆は紅葉さんだったんだね-。」
そんな紅葉さんに私はからかうように声をかけるとニヤリと不敵な笑みを浮かべて紅葉さんが私を見ていた。
こんな表情を浮かべる紅葉さんは要注意なんだ!!
身構えると大きな溜息と共に言葉を零したんだ。
「俺が阿呆なのは阿呆のお前のことを考えすぎたってところだけど?」
「紅葉さんってどれだけ私が好きなのよ!!考えすぎるほど好きなの?」
「はぁ??」
憎たらしい紅葉さんの言葉に瞬時に言葉を返せるようになったのは日頃紅葉さんに鍛えられているから。
私だっていつまでも言われっぱなしじゃないんだから!!
「もういい!!それよりもお前本当にいいんだな?
うた様の名前を名乗ることなんとも思わないんだな?」
「うん。だってそれが一番三成のためになるんでしょう?」
「三成様だ!!」
「そうだった!三成様のためになるんでしょう?」
「そうだ。」
「だったら公の場では私はうたを名乗るよ。普段は紫衣でいいんでしょう?」
「そうだ。だが本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。紅葉さんだって名前2つあるじゃない。ちゃんと使い分けているんでしょう?紅葉さんが出来るんだもん、私にだって出来るよ!」
満面の笑みで答えると紅葉さんは私から顔を逸らして呟きを洩らした。
「ほんとかよ...。」
だけど私は聞こえなかった振りをして笑顔を絶やさなかったんだ。