勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「もう一度聞くお前はどこから来た?何をしに来たんだ?」
「私は紫衣という同じ名前の女の子と逢って黒い塊の中に吸い込まれたんです。
その後の記憶はありません。気がついたときはこの家で目が覚めたときです。」
私の説明を聞いて更に顔が険しくなっていく。
「本当です。とっても不思議な話だと思うんですけど、私はその少女にお兄ちゃんを助けてと言われて...。」
両手で顔を覆って俯くしかなかった。
誰が信用してくれるだろう....。
こんな自分でも不思議な話しをして信用してほしいというほうがどうかしている。
覆った顔は流れ落ちる涙で濡れていた。
泣いても仕方ない。
泣いたってどうにもならない。
解っているのに涙は次から次へ溢れ出て私の顔を濡らしていく。
悲しいのか情けないのか、何故涙が出るのかさえ解らないまま私は涙を流し続けた。