勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
恥ずかしくて穴があったら入りたいという心境の私は俯き羞恥に耐えるしかなく、
「紫衣らしい」
芽衣ちゃんの言葉を合図のように笑い出す嶋田さんをほんの少し恨めしく思った。
「紫衣は紫衣のままでいいんだよ。」
だけど佐和さんの言葉で単純に救われた。
言葉だけじゃなく佐和さんの掌が私の頭を撫でてくれる、そのぬくもりに癒された。
良君に逢うって決めてから佐和さんとのスキンシップが減っていたから、とてもそのぬくもりを久々だと感じて心まであたたかくなったんだ。
「いつものことながら甘いね、二人は…。」
和む気持ちに水をさしたのは芽衣ちゃんで、
「紫衣が変わってなくて良かったよ。」
良君も微笑みながら言葉を掛けてきた。
「私の事は無視なの石田?」
「あぁ、清川も久しぶり。」
「それだけ?」
「え?」
「久しぶりに逢ったのに感想くらい聞かせなさいよ。」
「あ、あぁ…
変わってないね、清川も。」
「バカね…そういうときはお世辞でも綺麗になったねって言うものよ。」
「綺麗になったよ、二人とも。」
「ふふ…ありがとう。
石田、緊張してるでしょ。
会話が棒読みになってるよ?」
「え?」
目の前の二人の会話は私が水瓶で覗き見た紫衣の高校生活の頃と同じで、ここに自分がいることに胸が苦しくなった。