勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
城についてすぐ俺は紫衣を俺のために用意してくれている小さな屋敷に連れて入った。
「ここでしばらく待っていてくれ。」
誰の目にも触れさせず部屋に紫衣を押し込んで声を掛ける俺に紫衣は頷き返事を返してきた。
不安に揺れる瞳。
抱きしめてやりたい。
俯いたまま顔を上げない紫衣に自然に俺の腕が伸びる。
でも俺はその腕を伸ばすことなく拳をギュッと握りしめ、紫衣の頭を緩く撫で付けて部屋を後にした。
城に入るとまずは朱里の部屋を訪ねた。
朱里は昔から俺に仕える忍。
「入るぞ。」
声を掛けて朱里の部屋に入る俺に朱里は珍しい者を見るように目を見開いた。
「なんだその顔は。俺がここに来ることはそんなに珍しいことなのか?」
朱里の反応を面白くないと思った俺ははき捨てるように言葉を投げた。
「いえ、そうではありません...ですが.....。」
歯切れの悪い朱里。
「何が言いたい。はっきりものを申せ。」