平安物語=短編集=【完】
その夜、帝のお召しがありました。
いつものお優しい笑顔の中に、若干の気まずさが見えます。
いつもより細やかな愛撫に、帝が申し訳なく思っていらっしゃるのを感じました。
―そのお手で、昨夜可愛い大君を抱いたの…?
帝がこうもご執心なさるなんて、一度お逢いになったとしか思えません。
おそらくは、昨夜…。
予め大君に心を寄せていらして、大君に逢うためにわざわざ昨夜は誰もお召しにならなかったのかしら。
大君も、なんと軽々しい真似を…。
激しい嫉妬が再燃してきて、帝が腕枕をしてくださる中で反対側を向きました。