平安物語=短編集=【完】
寝息を立てている中将様を、ぽかんとしたまま見つめていましたが、はっと我に返って御帳台から滑り出ました。
「誰かいますか。」
そう声をかけると、ヒソヒソと話し声がした後で大輔が入って来ました。
何やら頬を紅く染めています。
「姫、様、あの……?」
しどろもどろしている大輔を無視して端近へ行くと、乳母と若女房が話していました。
私が若女房を睨むと、ぱっと顔を赤らめて泣きそうな顔をしています。
――この女房が、勝手に手引きをしたのね。