平安物語=短編集=【完】
夕方頃になって、私はやっと本題を切り出しました。
「実は、今日お訪ねしたのは、一つご相談したい事がございまして…」
「まあ、そうとは知らず、随分と無駄話に付き合わせてしまいました。
何でしょう?」
「はい……義母上様にご相談するというのも、筋違いな話なのですが……」
「そんな御遠慮は無用ですわ。」
おっとりと微笑む義母上に、覚悟を決めて話し出しました。
「はい…
昨夜、よし…中将様がいらしたのですが、その時に…正妻として来て欲しいと仰られたのです。
でも…私、参った方が良いのか分からなくて。
もし…あの、中将様が…他の御方の所へお出掛けになる時に……」
詰まりながら何とか言おうとすると、
「中将様が他の御方々の所へ出掛けることになったら、それを見送るのが辛い…という事ですね?」
と、義母上が後を引き継いでくださいました。