平安物語=短編集=【完】
「幸せを前に、臆病になってしまうのはよくある事です。
これを逃してはいけません。
中将様を愛しているのでしょう?」
涙が滲んだ目で義母上を見上げると、優しい笑みを浮かべていらっしゃいます。
「何か嫌な目に遭わされたら、いつでも帰っていらっしゃい。
私は、本当に継子とは思えないくらい、あなたを愛していますよ。」
――義母上様…
おかあさま…
義母上の胸に縋って泣くと、義母上も優しく背中をポンポンと叩いてあやしてくれます。
「こんな風に甘えてくれる日を、ずっと待っていました…」
震える声で仰ったお言葉に、ますます涙が溢れます。
こんなに素敵なお母様は、世界中探してもいやしない…