平安物語=短編集=【完】
懐妊の知らせを聞いた時、サッと血の気が引いた。
更衣の前例が頭をよぎったのは言うまでもない…
しかしそれを少しでも表に出してしまったら現実のものとなりそうで、私はひたすらに嬉しいふりをし通した。
そして、母子共に健やかに男子が生まれたと聞いた時には、思わず泣き崩れてしまった。
涙を押し拭って女御に書いた手紙は、
『ご安産と聞いて、年甲斐もなく泣いてしまいました。
男の子だそうですね。
早くあなたと若宮に会いたい、なるべく早く参内してください。
あぁでも、無理をして体を壊すような事は決して無いように。
とにかく、体を休めることです。
本当に、生んでくれてありがとう。』