平安物語=短編集=【完】



さて男宮達を見比べてみますと、あることに気付きました。


「こうして拝しますと、女宮達はよく似ていらっしゃいますね。

しかし男宮達は、不思議なほど似ていらっしゃいませんこと。

お生まれも三ヶ月弱しか違わないのですから、瓜二つのように似ていらしても不思議ではありませんのに。」

私が思ったのと同じ事を、側にいた女房がぼそっと私に言いました。


「でも、一の宮も二の宮もお母上によく似ていらっしゃいますからね。

とくに二の宮は。」

そう返しながらチラッと中宮様達の方を見ますと、お話に相槌を打っていらっしゃる中宮様と目が合いました。

流し目で私をご覧になるお美しさはさて置いて、その視線はまるで睨むかのようで私は硬直してしまいました。

直後にはまた皇后様達と談笑していらっしゃいますので、気のせいだったかと思われるほどでしたが…

この話題は決して続けてはいけないと直感しました。



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