平安物語=短編集=【完】



「み、宮様!!」

慌てて止めようとする男を無視して、庭を突っ切って右近が居る所に向かった。


「右近。
紅葉の君は、こちらにいらっしゃるのか?」

「は…はい。
中に、確かにいらっしゃいます。」

右近の言葉に頷いて、上がろうとすると、

「宮様、困ります!」

と、先程の男が泣きそうな声で呼び掛けた。

何が何でも西の対まで案内するよう言われていたのだろう。


「事の次第を、主に話しておけ。
そなたに不備は無かった。」

そう言いおいて、階を上がった。



< 613 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop