平安物語=短編集=【完】



それだけではございません。

寧ろ、こちらの方が大切な事でございます。

宮様は、そんな貴い御身分で蝶よ花よとお育ちになりながら、誰にでも分け隔て無くお優しくて、下々の者にもお心を配ってくださるようなお方なのです。

私が初めて宮様の御許に出仕致しましたのは、宮様がたった五歳、私が七歳のことでございましたが、右も左も分からず不安で途方に暮れる私に、とてもお優しく話しかけて助けてくださったのでした。



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