平安物語=短編集=【完】
私達宮様つきの女房達が東の対の方を目の敵に憎む一方で、何と宮様は、東の対の方に同情あそばしたのでした。
「こんな風に存在を世間に隠されて、きっとお辛いことでしょうね。」
それはそうかもしれませんが、それにしても御心が広すぎるというものです。
宮様がお手軽のやり取りなどなさるのを釈然としない気持ちで拝しておりましたが、どうやら東の対の方もそこまで無礼な人という訳ではないようです。
それでも、
「東の対の人と親しくしてくださっているようで安堵しております。
貴女のお立場を揺るがすような事は決してないつまらない女ですから、このように穏やかになさってください。」
と言う殿の小憎らしさは言葉にもなりません。
「そう致しましょう。
良いお話相手が出来て、私も嬉しゅうございます。」
とおっしゃる宮様も、人が良すぎるというものです。