平安物語=短編集=【完】
結局殿は、夜が明ける直前…逢瀬から帰って来るような時間に帰って着ました。
ずっと起きていらした宮様は、殿の帰りの気配を感じると御帳台から出ていらしてお迎えになります。
何食わぬ笑顔を浮かべて、殿にお酌などなさいました。
遠目に拝しておりますと、普通の睦まじい御夫婦にしか見えません。
珍しくひどく酔った殿は、宮様を抱き上げて御帳台に入ってしまいました。
その時の殿の腕の中の宮様は、じっと物言いたげな瞳で殿を見つめていらっしゃいました。
まさか…
いくら何でも、そんな。
露見すればただでは済まない大罪を、殿程の計算高い方が犯すだろうか。
それとも、それすらも計算の上で…?
そもそも、今を盛りとお幸せな方がそんな事を受け入れる筈が無い。
…でもそうだとすれば、これまでの異常な程に親身なお世話にも納得がいく。
でも……