平安物語=短編集=【完】



「そのことに関して…宮。」

帝は私に話しかけられたのですが、ご自分も「宮」と呼ばれ慣れていらっしゃる東宮が「はい。」とお返事してしまわれました。

私と帝は思わず顔を見合わせて、吹き出すように笑ってしまいます。

その後で、私ははっとしました。

帝と顔を見合わせて笑うなんて、これが初めてのことだったのです…。



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