長閑【短編集】


家から戻ってきてかしわ餅を潤に渡す。


「はい。」

「ありがとうママ。」


言うが早いがすぐにかぶりつき始めた。



…本当、そっくり。


「どうしたの?」

突然潤が私に質問した。

「え?」

「どっかいたいの?」

「ううん、大丈夫。」


私はそれだけ言ってかしわ餅を食べ始めた。


潤は不思議そうな顔で私を見てから視線を鯉のぼりへと移していた。
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