長閑【短編集】


「よいしょっと。」


私がようやく鯉のぼりを立てると潤はそれを見上げて呟いた。


「およがないねー。」

「今日は風が吹いてないからかな。」


三匹の鯉のぼりはだらんと垂れ下がったまま。


残念そうな顔になった潤に私はこう言ってみた。

「かしわ餅でも食べよっか?」

「うん!!」

返事は即答。


誰かさんにそっくりだなぁと思いながら、

私は家に戻ってさっき買ってきたかしわ餅を取りに行った。
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