長閑【短編集】
バス停
ザ―――…
雨音が止む気配はない。
こうして傘をさしているのにも関わらず、僕の足元は既にびしょ濡れ。
「…まだか。」
周りに誰もいないのに自分にしか聞こえないぐらいの声でそう呟いて、後ろを振り返った。
そこにあるのはバスの時刻表。
到着時刻 5時06分
僕は制服のブレザーのポケットから携帯を取り出した。
途端に水が携帯の画面に襲いかかる。
僕は画面を制服の袖で拭いた。
現在時刻 5時01分
後、5分か…。
再び携帯をポケットに押し込んだ。