罪線シンドローム
Prologue……下弦の月〜上原ユキ〜


私の大好きな、夜の公園。

ベンチに腰を下ろした私から見える、大きな蒸気機関車や、モノトーンの桜には興味がない。


でも、"夜"という存在が、私を癒す。


昼間の強い陽射しは、私を受け入れてくれないから、私は夜を受け入れた。


明るさを全て取り除いた、この夜だけを。


でも、月明かりは好き。


月明かりは、決して夜の闇を壊さない。




その闇を、より深い物にしてくれるから。



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