人形と歯車
たいくつなだけの朝が終わり、きゅうくつなだけの昼がはじまった。



昼ご飯は屋上で食べるようにしている。



ここならばだれにもじゃまをされずにのんびりとできた。



風がとおりぬける。



バタン。



「ダダ。かぜひいちまった」



「ペースが早すぎるぞ。もっとおとさないともうわけれない」



そう言ってむねポケットからパケットを取り出す。



男の足元に投げた。



「ありがとう」



バタン。



雲が流れた。



太陽があらわれて、佐藤をおおいかくすように影がのびた。



バタン。



「ダダ。」



コンクリートにあずけた背中をはなし、角から手をふった。



「返事くらいしろよな」



まったく、と須藤があきれた。



一口パンをかじる。



「あ、そうだ。今日の夜からだからな」



「ネコのあれか?」



デリカシーのなさはこいつの悪いところだ。


「あぁ。じゃあ8時にいつものとこにしゅうごうな」



「次からはメールにしてくれ」



そう、正確に区画わけされたタイルにのびる須藤のかげに言った。
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