人形と歯車
自動販売機が見えた。


すでに須藤と中井が待っていた。



「ダダ。おせえぞ」



「時間ピッタリだよ。ダダは」



携帯でメールを打ちながら中井が答えた。



「で、こんな時間にどうするんだ?」



ふふん、よくぞ聞いてくれた、と須藤は自信満々にうでを組んだ。


「待ちぶせだ」



「…は?」



「犯人は現場に帰って来るんだよ」



アホらしい、と中井は携帯を持つ手を上げた。電波よくなりそうじゃん、と言っていた。


「とにかく行くか?」


佐藤がうながすと三人は学校へ歩きだした。


「ピクニックみたいだね」



中井が痛んだかみのさきをつまみながら言った。



口をとがらせて、あ、枝毛だ、と声をあげた。



「そめてるからだよ。黒でいいんだよ。」



「自分だってさ」



ケンカがはじまった。


佐藤はこんなくだらない時間が好きだった。
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