人形と歯車
パソコン関係の機器とオーディオ。ホームプロジェクターが近代的な印象を残させる部屋だ。



久家はやせた頬をなでた。



「いらっしゃい。」



「・・・あぁ。何か痩せたな」



須藤が腰をおろした。



「うん。食欲がなくて。でも不思議といい気分なんだよ。何もかもが無くなったから気が楽になった。」



「学校に行きたくない理由でも?」



佐藤が机の上のルービックキューブを手にとって聞いた。




「行きたくない理由ならいくつもあったよ。」



あの頃の印象とは違う。



つき物がとれたような顔をしている。



「いじめられていたのか?」




須藤が真っ直ぐにたずねた。




「それはない、と思う。自分ではなかったと思っているよ。友達もいた。」




「じゃあ勉強か?」




「成績も悪くなかったよ」




「それじゃあ何でネコを?」




「・・・」




「臨時収入と関係があるのか?」




「話すよ。たいしたことじゃないんだ。」




拳を握る須藤。




「ネコを殺したのはぼくじゃないんだ」

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