人形と歯車
「ぼくはただネコをあそこへ運んだだけだった」



「どうして?」



「臨時収入と関係があるんだ。もうどうでもいい話だから話すね。なんだか楽になれてよかった。」




久家は虚ろな目を漂わせる。




「はじめは恐喝される役だった。恐喝をするからって金を渡されてビビる演技をしてこれを返してくれっていうんだ。変なやつだとは思っていたけどぼくはお金ももらえるし、いいかな?って思ったんだ。軽い気持ちだった。」




「頼みごとがエスカレートしていってネコを置くことになったのか?」



「結論を急ぐタイプだね。ごめんね。ぼくはもう何ヶ月も人と話してないからもっと話たいんだ。」




久家がケラケラと笑う。




「エスカレートをしていったのはぼくの方だよ。」




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