花火
中華街の駅から蒲田駅までは、みなとみらい線で横浜駅に向かい、京浜東北線に乗り換えるという三十分程度の道のりだった。駅に着くと、駅ビルの中にあるスーパーで買い物を済ませ、そこから徒歩二分のマンションに向かった。駅からの近さは梅ヶ丘のそれとあまり変わらないが、貴美の住んでいるマンションは、比べ物にならない程立派だった。十三階建てのオートロックマンション、築はたったの一年。家賃も確か八万を超えていた。社会人一年生としてはあまりに贅沢な家賃だと思ったことを記憶していた。貴美はそのマンションの、六階の角部屋に住んでいた。思えば、ここを訪れるのは二度目だった。一度目は半年前、引越しの手伝いをした時だ。