花火
「家には春香なんて娘はいません」
顔色が一瞬にして青く変わり、勢いよく扉を閉めようとした。
「東京から春香さんを探しに来たんです。あなたの姿を見て、直ぐに春香の母親だって分かった!」
その悲痛な叫びは、誰の胸へともなく響き渡った。目の裏に熱い物を感じた。
「家にはそんな子はいません!」
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