花火
「それから他にも、変化はありましたか?」
カルテに素早くメモをしながら、先を促された。
「七月に入って、だんだん疲れが取れなくなってきました。平日も家に帰ってくる頃にはくたくたになってましたし、幾ら寝ても疲れが取れなくて、休みの日は一日中寝ている様になりました。それと並行する様に、顔色が悪くなってきました。青白くではなく、黄色みを帯びた様に」
喋っている内に、どんどん恐ろしくなっていった。逃げてばかりいたことを、思い知らされた。
「他にはありますか?食べた物を戻してしまったりとか」
何を聞いても顔色一つ変えなかった。安心感を持たせるためなのか、それとも私の病気が何であるか、すでに推測が付いているのだろうか。
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