花火

「治らないんだ。私、死んじゃうんだね」
頭の中が真っ白になって、死神に肩をゆっくりと叩かれた様な気がした。時が止まったかのように、それ以上誰も、何も口を開かなかった。お父さんもお母さんも、声を殺して泣いているのだろう。私は夢を見ているようで、全てがスローで、ぼやけていた。涙が浮かぶこともなかった。夢だと思ったんだ。
いつから夢を見ていたのかな？たっくんも、夢の中の存在なのかな。だとしたら、こんなに目覚めの悪い夢はないよ。もし、これが現実なら、私は受け入れることが出来るだろうか。