花火
家に戻ると、玄関にダンボールの束を置き、冷蔵庫からビールを取り出し、一息ついた。はぁっ、大きな溜息と共に座り込んだ。時間は五時を過ぎた頃なのに、辺りはすでに暗闇に包まれ始めていた。この部屋ともお別れか、思えば色々な思い出が詰まった部屋だな。今更になって愛着を感じだした。ありがとうな、声には出さずに呟いた。
ブーッ、ブーッと、ポケットの中に微かな振動を感じ、夕暮れの哀愁に浸っていたところを、無理矢理現実に引き戻された。携帯電話のディスプレイを開くと、そこには見知らぬ電話番号が表示されていた。
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