花火
『今日も一日雨だったね。でも今週の土曜日は晴れるらしいよ。久々の休日の晴天なら、海にでも行きたいね』
これは誘いなのか、それとも内に秘めた願望なのだろうか、いずれにせよチャンスであることに変わりなかった。ならばそのチャンスを見逃す訳にはいかない。
『じゃ今週の土曜は、一緒に海にでも行かない?』
意を決して誘ってみた。断られるとは思わないが、やはり緊張が部屋中に満ちていった。そわそわしながら、携帯の時計を気にしたり、部屋の時計を気にしたりしていた。テレビの笑い声にさえ苛立ちを感じる中、春香からの返信はきた。溜息とも、深呼吸ともつかぬ息を吐き、受信メールを開いた。
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