花火

花火

窓からは温かな光が差し込んできていた。いや、暑いと言った方が正しいだろう。額にはほんのりと汗をかいていた。枕元の時計を引き寄せると、時は九時を過ぎた頃だった。丁度良い時間だと思い、早速起き上がった。昨夜は今日一日のことを思い、早めに眠ったことが功を奏した様だ。
軽めの朝食を用意しながら、洗濯をした。先週は雨のために洗えなかったシーツ類をねじ込み、少し多めの洗剤を入れてスイッチを押した。食パンにとろけるチーズを乗せ、トースターに入れる。チン、という音と共に少し濃い目のコーヒーをカップに注ぎ、朝食をとった。
流しに洗い物をつけ、部屋の掃除に取り掛かる。狭い部屋だ、三十分もすれば一通りは綺麗になる。掃除という作業は嫌いでなかった。単純作業かもしれないが、そこには確実に功績を残せるからだ。部屋が綺麗になったという功績を。その余韻に浸っていると、タイミングを見計らったかの様に、洗濯機が終了のブザーを鳴した。白いシーツが風に静かに揺られ、白や薄い水色、柔らかなピンクのYシャツが、対照的に黒や灰色の下着が、心地よさそうに日の光を受けていた。今日はよく晴れている。
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