神威異伝
……夜明けと同時に十夜は目を覚まし、一度だけ欠伸をすると立ち上がった。
寝間着を脱ぎ、賢雄からもらていた衣服とコートを身に纏う。
旅荷物を詰め込んだ袋をからい、枕元に置いていた自分の刀…漆梁を腰布にさす。
できるだけ音を発てないように部屋の扉を開け、一度だけ振り返り…頭を軽く下げ部屋を出た。
比較的に玄関に近い部屋だった為、賢雄にも…理緒にも会う事もなく玄関に辿り着いた。
「……今まで、ありがとう」
頭を下げ、そう小さく呟いた十夜は賢雄の家に背を向け…歩きだした。